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デジタル番組のお話

地デジ等のデジタル番組は、アナログ放送とは仕組みなどがいろいろ違っています。 そのため、番組を見たり録画したりダビングしたりする時には、 注意しないといけないことがいろいろあります。

ここでは、そのようなデジタル番組特有の事柄や、 それにまつわる注意点などの情報を自分のメモ用にまとめています。

ちなみに、デジタル放送やデジタル番組の一般的な知識については、 ここではほとんど書いていませんので、別途一般的な解説サイト等をご覧ください。

現在作成中。順次内容を増やしていきます。

※ スカパー!は2012年10月から名称が変更になりましたが、 旧名称の「スカパー!e2」「スカパー!HD」の表記のままにしてあります。

【目次】

デジタル番組はこういうもの?
デジタル放送の圧縮とサイズ
   - 放送時の圧縮
   - 圧縮形式とビットレート
   - 記録容量と録画時間
「著作権保護」(コピー制限) の基本的な仕組み
   - 基本方針
   - 録画・保存時の暗号化
   - 汎用 HDD を使う場合
「機器縛り」「個体縛り」
   - よくある例 (USB HDD)
   - 機器縛りは USB HDD だけ?
   - 機器の買い替えなどにだけ注意すればよい?
   - 機器縛りを逃れるには?



デジタル番組はこういうもの?

デジタル番組を視聴したり、録画・再生、ダビングなどをしていると、 いろいろ疑問に思うことが出てきます。

とりあえず以下に、「デジタル番組とはこういうものだ」 という事柄を書いておきます。

デジタル番組は放送時点ですでに圧縮されている。
そのため、場合によって部分的に小さい四角のノイズや細かいノイズが見えることがある。
放送の種類 (地デジ、BS、CS、スカパー!HD など) によって、 ハードディスクやブルーレイに録画できる時間は異なる。
ほとんどのデジタル番組は、著作権保護のためいろいろな場面で暗号化されている。
そのため、ハードディスクに録画した番組は、その機器でないと再生できない。
 (USB HDD などを他の機器につなぎ換えて再生することはできない)
 (機器本体が故障したり、機器を買い替えると USB HDD 等に録画してある番組が全て見られなくなる)
DVD に保存する際には CPRM 対応メディアが必要。(プレイヤーも CPRM 対応必須)
レコーダー等の「ハイビジョン画質で長時間録画」という言葉はまやかし。
 (アナログ放送とデジタル放送、また録画形式によって「画質」の意味が違う)
「ダビング 10」は「コピーワンス」という仕組みの拡張でしかなく、 基本的な考え方は「コピーワンス」。
そのため、ダビング 10 情報を持ったまま番組をブルーレイや他の機器にダビング (ムーブ) はできない。


それぞれの項目が言わんとしていることや、その理由などについては、 このページ等で適宜解説していこうと思います。(上から順に、ではありません)

なお、コピーワンスやダビング10については、こちら「ダビング 10 のお話」にまとめてあります。



デジタル放送の圧縮とサイズ

放送時の圧縮

デジタル番組の放送は大量のデータが必要となる高画質の画像を送るために、 放送時点ですでにデータの圧縮 がされています。

同様の映像の圧縮はすでに DVD ビデオやブルーレイビデオ等で使用されています。 また、映像ではないですが、音楽のダウンロード販売等においても MP3 等の形式によるデータ圧縮が使用されていますし、 デジタルカメラ (デジカメ) で撮影した写真を保存する際には、 多くの場合 JPEG 形式で圧縮されて記録されています。 このようにデジタルデータを圧縮するというのは、 今の我々の生活では当たり前に使われてる技術なのです。

ほとんどの放送は DVD 等で使用されているのと同じ MPEG2 という形式で圧縮されていて、 スカパー!HD のハイビジョン画質チャンネルは MPEG4 AVC/H.264 という高画質を保ちながらさらに高い圧縮ができる形式で圧縮されています。

仮にハイビジョンの番組を圧縮しないで放送・録画するとしたらどのくらいのサイズになるでしょうか。 なお、以下の考え方や数値等は例示のために分かりやすいものを使っているだけですので、 実際はこの通りとは限りません。あくまで目安だと思ってください。

フルハイビジョン映像の画面の大きさは 1920 画素 (横) × 1080 画素 (縦) である。
一般に一画素は「赤緑青 (RGB)」の色情報を使って、通常各色 8 ビットで表現され、合計 24 ビット (3 バイト) のデータ量となる。
日本のテレビの映像は 1 秒間に約 30 枚 (フレーム) の画面で構成される。(正確には 29.97 フレーム/秒)
     ↓
  1920 (画素) × 1080 (画素) × 24 (ビット/画素) × 30 (枚/秒) = 約 1493 Mbps = 約 187 MB/秒
     ↓
  1 分あたり: 約 187 MB/秒 × 60 秒 = 約 11,220 MB = 約 11 GB
  30 分番組: 約 187 MB/秒 × 60 秒 × 30 分 = 約 336,600 MB = 約 337 GB
  1 時間番組: 約 187 MB/秒 × 60 秒 × 60 分 = 約 673,200 MB = 約 673 GB


放送時には、これほどのサイズのデータを下の節の表のように 数十分の一 のサイズに圧縮しているというわけです。

もちろん、これほどの高圧縮の場合、圧縮したデータを視聴できる状態に戻した時に (伸張した時に)、本来のデータと同じものが再現されるわけではありません。 通常、このような高圧縮の場合は、不要な (と思われる) データを切り捨てることで「元に戻せない」形式にして圧縮されています。 (そのような圧縮方法を「非可逆圧縮」または「不可逆圧縮」といいます)

そのため、圧縮方式や元映像、放送時のビットレート等によっては、 映像がぼやけたり、ノイズが入ったり します。 これは今のデジタル放送では避けられない現象なのです。

圧縮形式とビットレート

デジタル番組は、地デジや BS、スカパー!HD といった放送の種類ごとに、 使用されている圧縮形式や伝送レート (ビットレート) などが異なっています。

下の表の放送レートの実際値は、ネット上の種々の情報を参考に記載しています。 計測対象の番組や条件等によって異なりますので、参考程度に捉えておいてください。

 放送種別   解像度 (最大)   圧縮形式   放送レート 
 規格値 (最大)   実際値 (実測) 
 地上デジタル   HD (1440×1080)   MPEG2   約 17 Mbps (現行)   10〜14 Mbps程度 
 SD (720×480)   MPEG2   約 8 Mbps    5〜 7 Mbps程度 
 BSデジタル   HD (1920×1080)   MPEG2   約 24 Mbps   17〜20 Mbps程度 
 SD (720×480)   MPEG2   約 12 Mbps    6〜 8 Mbps程度 
 スカパー!e2 
 (110度CSデジタル) 
 HD (1440×1080)   MPEG2   約 24 Mbps   12〜15 Mbps程度 
 SD (720×480)   MPEG2   約 12 Mbps    4〜 6 Mbps程度 
 スカパー!HD   HD (1440×1080)   MPEG4 AVC/H.264   約 15 Mbps    6〜10 Mbps程度 
 SD (720×480)   MPEG2   約 8 Mbps    2〜 6 Mbps程度 
 スカパー!SD   SD (720×480)   MPEG2   約 8 Mbps    2〜 6 Mbps程度 

 スカパー!HD は HD 画質チャンネルと SD 画質チャンネルを合わせたサービスで、 スカパー!SD は SD 画質チャンネルのみのサービス。
 すなわち、スカパー!HD の SD 画質チャンネルとスカパー!SD は同じもの。


記録容量と録画時間

デジタル放送を録画して、ディスクメディアに焼く場合はブルーレイディスク (BD) を使うことが多いと思います。

片面 1 層の一般的な BD-R または BD-RE ディスクの場合 25GB の記録容量を持っていますが、 録画用メディアの場合、録画可能時間として 「180 分」 (3 時間) とか 「130 分」 (2 時間 10 分) と表記されていることがよくあります。 また、ネット上の情報では「約 180 分」「約 130 分」と 「約」がつくことも多いです。

この「180 分」や「130 分」ですが、前者は地上デジタル放送 (地デジ) の場合で、後者は BS デジタルの場合になるのですが、 これはそれぞれ規格上の最大のビットレート (地デジは 17 Mbps、BS デジタルは 24Mbps) で放送されたものを録画した場合の時間となっています。

地デジの場合: 1 秒間に 17 Mビット ⇒ 1 秒間に 2.1 MB ⇒ 1 分で 128 MB ということで、
25GB に記録できるのは単純計算で 25000 (MB) ÷ 128 (MB/分) ≒ 195 分
BS の場合: 1 秒間に 24 Mビット ⇒ 1 秒間に 3 MB ⇒ 1 分で 180 MB ということで、
25GB に記録できるのは単純計算で 25000 (MB) ÷ 180 (MB/分) ≒ 139 分


上記は単純計算の値でしかなく、 実際はファイルやフォルダを表現するためのデータ (ファイルシステムデータ) 等があるため、それを考慮すると「約 180 分」と「約 130 分」になるのでしょう。

ただし、前述の表のように、 実際にはその最大値のビットレートで放送される番組はあまりなく、 番組によって実際のビットレートや合計のデータサイズは異なっています。

そのため、「180 分」とか「130 分」は あくまで目安 でしかなく、実際に 1 枚の BD メディアに何分 (もしくは 1 時間番組や 30 分番組が何本) 入るかは やってみないと分からない ということになります。

これはハードディスク (HDD) 等でも同様で、レコーダーの内蔵 HDD として 1TB の容量があるとして、そこに何時間録画できるかは、 録画するのが地デジなのか BS デジタルなのか、 各番組の実際のデータサイズはどのくらいなのかによって異なります。

なお、レコーダー等では「残り記録可能時間」が表示されるものもありますが、 多くは BS デジタルの最大ビットレートで計算した場合の時間が表示されているようです。 当然ながら地デジのビットレートで計算するともっと多くの時間録画できることになります。

ということで、その場合もあくまで目安でしかないということを覚えておいて下さい。



「著作権保護」(コピー制限) の基本的な仕組み

基本方針

デジタル番組の多くは、著作権保護のためにコピー制限がかかっています。

その基本的な方法 (方針) は、

番組を 暗号化 しておき、条件が揃わないと元に戻せない (番組を見たり編集したりできない) ようにする


というものです。 これによって、

暗号化された番組データだけを手に入れても何もできない


ことになり、「コピーしてもどうしようもない」状態にすることで、 番組を保護していることになります。 すなわち実質は、

「コピーを制限している」のではなく「 コピーを無意味にしている


と言えます。

この暗号化は放送時点ですでに行われていますが、 ハードディスクに録画した場合も、DVD や BD メディアに焼いた場合も、 LAN (ネットワーク) を使って番組を配信したりダビング (ムーブ) したりする場合も、すべての場合において暗号化が行われています。 (それぞれの場合によって暗号化の方法等は異なっていますが)

録画・保存時の暗号化

コピー制限のあるデジタル番組を録画したり保存する場合の基本的な方法は、

録画機器や保存メディアに暗号化のための キーデータ を持たせ、それによって暗号化および復号化 (元に戻す) ことを行う


というものです。

暗号化のキーデータは各機器一台ごとやメディア一つずつに異なるものになっていて、 また、容易に分からないようになっています。

機器やメディアが固有の暗号化のキーデータを持っているために、 暗号化された番組データを単純にコピーしただけでは、 正常に視聴したり編集したりすることができません。

コピー制限があるデジタル番組を録画・保存できるメディアとしては 以下のものがあります。(現在はほとんど使われていないものや、 規格上は録画できるようになっているものの、 実際には対応製品がないものなども含まれます)

ブルーレイディスク (BD)
HD DVD
D-VHS
DVD-R,RW,RAM (CPRM 対応メディアが必要)
DVD+R,RW (VCPS 対応メディアが必要)
SD カード (CPRM 対応メディアが必要)
メモリースティック (MagicGate 対応メディアが必要)
Hi-MD (MagicGate 対応メディアが必要)
EMPR 対応機器 (PSPgo, ウォークマンXシリーズなど)
iVDR-S カートリッジ (SAFIA 対応の iVDR)
iVDR-S Built-in ハードディスク
汎用ハードディスク (HDD)
 (使用する機器がコピー制限の仕組みを持っている場合に限る)


ブルーレイディスクや HD DVD は当初からデジタル番組を記録することを想定されていたために、 最初からメディアに暗号化のキーデータを持つように規格が決められ、 著作権保護が必要なデジタル番組を保存することができます。

しかし、DVD や SD カード、メモリースティック等は、 それらの規格が決められた時点ではデジタル番組の保存に使用することが 想定されていなかったため、 後になって著作権保護の仕組みとして CPRM や MagicGate が追加され、 CPRM や MagicGate 対応のメディアに限りコピー制限があるデジタル番組を 録画保存できるようになっています。

この CPRM 対応の DVD メディアや SD カード、 MagicGate 対応のメモリースティック等は、プレイヤー等の再生側も CPRM や MagicGate に対応していないと映像再生ができないので注意が必要です。

カートリッジ式ハードディスクである iVDR も、 コピー制限があるデジタル番組を録画・保存できるのは、 著作権保護技術である SAFIA 対応の iVDR-S だけとなります。

iVDR-S には、カートリッジ式ではなく普通のハードディスクの形をした iVDR-S Built-in もありますが、日立のテレビ (Wooo) などの ごく限られた製品でしか使用されていないのが現状のようです。

なお、ここまでのメディアは、それぞれのメディアの中に暗号化/復号化のための キーデータを持っていて、それを使って暗号化や復号化を行っているので、 ある機器でそれらのメディアに番組を保存してそれを別の機器に持って行っても、 問題なく番組の再生ができます (暗号化状態の番組を元に戻せます)。

(ブルーレイディスクの場合は、実際はそんな単純な方式ではなく、 複数のキーを使ってコピーを制限しているのですが、ここではその詳細は省略します)

汎用 HDD を使う場合

ハードディスク (HDD) に番組を録画するという意味では、 現在多くのレコーダーや録画可能テレビ等では、 汎用のハードディスクを内蔵して使っています。

また、汎用 HDD を使用した (内蔵した) USB HDD や LAN HDD などを録画先として使える製品も増えつつあります。

でも、汎用のハードディスクは著作権保護のための暗号化のキーデータを 内部に持っているわけではありません。

そのため、テレビやレコーダーなどの、 汎用の HDD にデジタル番組を録画する機器の場合は、 機器の側に暗号化のためのキーデータを持たせる ことで、コピー制限の仕組みを実現しています。

汎用の HDD を内蔵 HDD もしくは外付け HDD として使用して、 コピー制限のあるデジタル番組を録画・保存する機器としては以下のものがあります。

レコーダー (BD、DVD、HDD)
録画可能テレビ (液晶、プラズマ)
録画可能チューナー製品 (地デジ、BS、CS、スカパー!HD)
録画可能 CATV STB
DTCP-IP 対応 NAS (DTCP-IP サーバ)
パソコン+ PC 用チューナー (内蔵、USB 外付け)
ゲーム機 (PS3)+専用チューナー (torne)


これらの製品は、 内部の基板のいずれかに暗号化のキーデーターを持たせているようですし、 パソコンやゲーム機+チューナーの場合は、 チューナーが暗号化のキーデーターを持っているようです。



「機器縛り」「個体縛り」

よくある例 (USB HDD)

Q:  テレビ A で番組を録画した USB HDD を、 テレビ B につなぎなおして番組を見ることはできないのでしょうか?
A:  どのメーカーのどの機器であってもできません。


価格.com のクチコミ等で、たまにこの手の質問を見かけます。

東芝のテレビやレコーダーで見かけることが多かったのですが、 最近はいろいろなメーカーのテレビ等で USB HDD 録画ができるようになってきているので、 ますますこの手の質問が増えていきそうな気がします。


上の「コピー制限の仕組み」に書きましたが、 デジタル番組は個々の機器が持つ固有の暗号化のキーデータを 使って録画されています。 そのため、単純に暗号化された番組データ (USB HDD 上に保存されている番組) だけを (USB HDD ごと) 他の機器に持って行っても、再生できないというわけです。

各機器の内部の暗号化のキーデータは一台一台異なっているため、 たとえ A と B のテレビがまったく同じ機種であっても USB HDD をつなぎ換えて番組を見ることはできません。 そのため、USB HDD を使って番組を保存している場合、 テレビやレコーダーなどを買い換えるなどの際には十分に注意が必要となります。


このような制限は、よく「 機器縛り 」や「 個体縛り 」と言われるようです。 (番組がその機器や個体に「縛り付けられている」という比喩なのでしょう)

なお、機器によっては USB HDD をつなぎ換える時に初期化を求められるから他のテレビでは見られない、 という理由がある場合もありますが、 これは「機器縛り」「個体縛り」とは別の制限によるものですが、 ここでは説明は割愛します。

機器縛りは USB HDD だけ?

USB HDD は簡単につなぎ換えができるので、 この「機器縛り」問題がよく話題になりやすいですが、 「暗号化されている番組データ」と「暗号化キーデータ」 が揃わないと再生できないという意味では、 汎用 HDD 全てについて言える 現象です。

例えば、普通はやりませんが、レコーダーの内蔵 HDD を取り出して、 それを別の同型レコーダーの内蔵 HDD と交換したとすると、その場合も 「機器縛り」の制限によって交換した HDD 上の番組は再生できません。 (作業の手間を別にすれば、やっていることは USB HDD をつなぎ換えるのと同じですからね)


また HDD のつなぎ換えとはちょっと違いますが、例えば I-O Data RECBOX (DTCP-IP サーバ機能を持つ NAS) の DTCP-IP 用フォルダにある (暗号化されている状態の) 番組データは、 とある手順を踏むと比較的簡単にパソコンに持っていけます。 (違法な方法とかではなく、ごく普通の操作でできることです)

ただし、DTCP-IP によるムーブ等ではなく、単純に番組データをそのまま パソコンに持っていっただけなので、「暗号化された番組データ」と 「暗号化キーデータ」が離れている状態となり、 パソコン上で再生等をすることはできません。

(まあ、暗号化以前にデータ形式が RECBOX 用のものになっているようなので、 それを解析して純粋に番組データ (暗号化されていますが) だけを取り出すことが必要ですが :-)


また、普通はもっとやりませんが (悪いことをしたい人はやりたがるでしょうか :-)、 ブルーレイディスクや CPRM DVD 上の番組データだけを 他のところに持っていくのも同様と考えることができます。

そういう意味では、これらのメディア上に保存されている番組は 「 メディア縛り 」がされていると言えるのでしょうね。

機器の買い替えなどにだけ注意すればよい?

USB HDD に録画保存してあるものは、その機器本体がないと再生できないから、 機器を買い替える時などに気をつけさえすればよいのでしょうか?

残念ながら、「機器縛り」は他にも困った問題を抱えています。 それは、

内部の基板等を交換してしまうと、 USB HDD や内蔵 HDD 上の番組が一気に見られなくなる


と言う問題です。

USB HDD を録画に使える製品の場合、8 台とか 16 台まで登録することが できるものも多いですが、その全てが一気に再生不可能になってしまうのです。


汎用 HDD を使う録画機器は、「機器側に暗号化キーデータを持たせる」 ようになっていますが、多くの機器はそのキーデータを内部の基板上のチップ上 に保存しているようです。

今時の家電製品は、部品が個々に分かれていることはあまりなく、 基板上に多くの部品がまるごと載っているのですが、 故障等で製品の「修理」をする際は、 「部品を修理する」のではなく「 部品を丸ごと交換する 」ことが多いために、 「基板をまるごと交換」することがあります。

問題は、その基板上に暗号化のキーデータが格納されている場合、 基板の交換によってそれが 別のキーデータに変わってしまう ため、 それ以前に録画してあった番組を再生するためのキーデータがなくなることになり、 番組が再生できなくなるということです。

もちろん、 基板交換になるような故障や不具合はそうそうあるものではないかもしれませんが、 万が一の場合は たとえ HDD には何の問題もなくても 録画番組がまるごと全部見られなくなるというリスクがあるのです。


なお、メーカーや製品によって、 どの基板に暗号化キーデータを持たせているかは違うでしょうし、 故障時 (基板交換時) の対応も違うかもしれませんが、 多くのメーカーは機器の故障は直してくれても「 録画番組については保証しない 」のが一般的です。

(ほとんどの製品の取扱説明書等にその旨が書いてあると思います)

機器縛りを逃れるには?

では「機器縛り」を逃れるにはどうしたらよいのでしょうか。

現時点での対策としては、

BD 等のメディアや他の機器にダビング (やムーブ) をしておく


ということになるでしょうね。 要するに バックアップを作っておく 、という当たり前の対策をするというのが最善策と言えるでしょう。


ちなみに、上にも書きましたが、BD や他の機器にダビングしたからと言って 完全に「縛り」を逃れることができるわけではなく、 「メディア縛り」や「他の機器による縛り」は続くわけです。

(例えば東芝のテレビやレコーダーの USB HDD から I-O Data RECBOX に番組を持っていったとしても、「RECBOX による機器縛り」は存在するわけで、 万が一 RECBOX が故障して基板交換になると、 RECBOX に置いてある番組は再生できなくなります)

ただ、メディアの場合は機械に比べれば不具合が起きる (読み込みができなくなる) 確率は低いでしょうし、複数のメディアや機器にコピーを作っておくことで、 どれかが読めなくなっても (再生できなくなっても) 他のものがまだあるという状態にしておけるわけです。

なお、ダビング 10 番組の場合は、最大 10 個までメディアや他の機器に 「コピー」を作ることができますが、作られた「コピーの番組」はいずれも「 コピー不可・ムーブのみ可 」状態の番組になります。


スカパー!e2 やスカパー!HD の場合は、 「コピーワンス」のために録画した状態ですでに 「コピー不可・ムーブのみ可」となりますが、 同じ放送が何度か繰り返されることが多いようですから、 複数回同じ番組を録画することで実質的な「コピー」を作り、 それを BD や他の機器に持っていくことで対策するという方法がありえます。




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Last modified: Tue Oct 30 19:01:20 JST 2012 [アクセス: ] inserted by FC2 system